テイスティング内容
リンゴのコンフィチュール、セージやアニスなどの複雑で調和のとれたややオイリーな深い香り。さまざまな表情を見せ飲む側を楽しませてくれます。
ピュアな柑橘類を思わせる繊細な果実味。マセラシオンの重みは無くまろやかで洗練された余韻。しなやかで芯のある独特の質感が魅力。
ワイナリー詳細
アルド・ヴィオラ
アルカモにワイナリーを構えるビオディナミも取り入れた自然農法の葡萄栽培を行う生産者。現地のワインの記事の中には彼の事を”自然ワイン界のパブロ・ピカソ”と呼ぶ人もいる個性むき出しの生産者です。
そんな彼は同じアルカモのアレッサンドロ・ヴィオラとは実の兄弟。父から受け継がれたピエトロ・リノーサの畑はアレッサンドロと共に分けあって共に無農薬栽培をしています。
彼のもう一つの畑はアルカモから南に下った山間にあるカラタフィーミの奥にある”フェウド・グアリーニ”にあります。彼の主力葡萄品種であるシラーはこちらの畑で栽培されており、フランスのサンジョセフと同じクローンのシラーが植えられています。この畑は標高400~500mの位地にあり、あたりには巨大な風力発電の風車がいくつも建てられており、一面に強い風が吹きます。いくつもの山の丘が望め、本当に美しい景色です。
同じアルカモでも海岸付近とは全く別の場所に感じます。彼の畑は元々は石灰の石がごろごろとしており、非常に厳しさを感じる場所でした。それを何年もかけて砕き、移し、今の葡萄の環境へと変化させていったのです。その場所からはとても強い自然のエネルギーが蓄積されているのだとアルドは言います。確かに歩いているだけで体力を削られるような”強さ”を感じる場所でした。そういった強い畑での作業後は精魂尽きるような状態になる事もあるそうです。
アルドという男と話して一番印象に残ったワードは”エネルギー”という言葉です。
先程のフェウド・グアリーニの畑だけでは無く、アルド自身からも強い意志のあるエネルギーが発散されているように感じました。
ワインや畑の話をする時は目を思いっきり開いて強い口調で話します。周りから見ると相当変わっている雰囲気が彼から滲み出ています。
葡萄栽培、ワイン造りにおける彼の考えや行動は、宗教的で彼は殉教者のような行動と発言を行います。自らは畑のエネルギーを如何にしてワインに落とし込むのか、それを最大のテーマにしています。
”仕事”では無く”使命”なのだと語っていました。
彼が行っているワイナリーはビジネスでは無く、それこそが生きる理由だと断言します。
出来上がるワインにも並々ならぬ愛情を持っています。
そんな彼の造るワインには確かなエネルギーを感じます。畑や葡萄から来る部分と、ワイン造りに人生を捧げているアルドからのエネルギー、その両方がワインに見事に乗り移っているようです。
シラーもグリッロも飲み人を引っ張るような勢いのあるアグレッシブなワインで、その中に強い熱量が感じられ飲む人を引き込むようです。確かにエネルギーの強さを感じるワインなのですが、どこか穏やかで整ったような印象があり、決して難解なワインではありません。説得力のあるワインなのです。
アルド・ヴィオラと初めて会った時は少し難しい人物という印象でした。ですが、彼の考えをしっかりと聞いて打ち解けると優しく、頼りになる人でした。
現在イタリアではシチリアの自然ワインでアルドの名前は最初の方で上げられる事が多く、テイスターから評価をされ、自然なワインの若手生産者も彼の栽培を見学に行くなど支持を受けています。
今まで日本では認知されていなかった生産者ですが、その実力は本物。
ぜひ一度そのエネルギーに満ちたワインを味わってみてください。
こだわり
アルドが長年追い求めていた”マセラシオンしつつも繊細でエレガントな白ワイン”というテーマを実現させたのがこのクリミーソです。10月初旬にカタラットを収穫し、除梗した状態でそのままプレスせずにステンレスタンク内で葡萄そのものの重みで自然にジュースを搾り発酵。そのまま150日間という長期マセラシオンを行います。So2はボトリング前に極少量に抑えられ、ノンフィルターです。長いマセラシオンからは想像できないピュアで繊細な印象の上質な白ワインです。
ヴィンテージ | 2016 |
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タイ プ | 白 |
生産国/生産地 | イタリア, シチリア州 |
ワイナリー/生産地域 | アルド・ヴィオラ |
格付け | IGP |
ブドウ品種 | カタラット100% |
アルコール度数 | 12.5% |
容量 | 750ml |